運転資金の算定方法その2(回転期間から出す方法)

常に明るい未来を考える、あすなろ会計士田中秀一郎。税務調査・金融機関・キャッシュフローに詳しい。

今回は、運転資金の算定のもう一つの方法。BS勘定科目からではなく、回転期間から出す方法です。
この資金繰りは、企業経営のなかで一番大事なもののひとつ。金融機関から見ても、資金繰りは、その企業の生死に直接かかわることなので、非常に重視します。また、税務調査において、税務署のしかも課税部門のことだけ考えていたら、将来の資金繰りに影響し、経営の危機に直面することにもなってしまいます。修正申告で終わって、それで終わり、そんな顧問税理士さん多くないですか?税金のことだけ考えていてもしょうがありません。「お金は大事だよ~」というCMではありませんが、損益なんかより、むしろ資金、お金は大事なのです。

(回転期間)
棚卸回転期間:棚卸資産÷1日あたり売上
 商品仕入れてから、何日で売れるのか?
売上債権回転期間:売上債権÷1日あたり売上
 売れてから、何日で回収できるのか?
買入債務回転期間:買入債務÷1日あたり売上
 仕入れてから、何日で支払うのか?

意味としては、1日あたり売上を基準として、棚卸資産、売上債権、買入債務が何日で回転するか、算定しているものです。
商売、資金の流れは、まず仕入→棚卸→販売→買入債務支払→売上債権回収、というように流れます。すなわち、買入債務の支払から売上債権回収までの期間、手元には現金が残らず、運転資金が必要となる期間になります。
例で示すとよりわかると思いますので、次に例を示します。

(例)
1月~10月売上累計6,000万円、売上債権1,000万円、棚卸資産500万円、買入債務600万円

棚卸回転期間 500万円/6,000万円/356日*12月/10月=25.3日
売上債権回転期間  1,000万円/6,000万円/365日*12月/10月= 50.7日
買入債務回転期間  600万円/6,000万円/365日*12月/10月=30.4日

運転資金要する期間 25.3日+50.7日-30.4日=45.6日

さらに、これを金額ベースにすると、

運転資金 1日あたり売上×45.6日=6,000万円/365日*12月/10月×45.6日=900万円 

このように算出することができます。もちろん、これを月あたり売上によって算定することもできます。

資金繰りのポイントは、この運転資金をなるべく最小限にすることが、資金繰りの悪化を防ぐことに繋がります。すなわち、棚卸回転期間(早く売れる。無駄な在庫は置かない。)、売上債権回転期間(できるだけ早く回収する。)、買入債務回転期間(支払はなるだけ余裕をもらう。無駄な現金仕入れしない。)、などなど業種業態、置かれた環境によって対応は異なると思いますが、各回転期間を短縮できるかにかかっています。